只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
街灯に照らされた手をよく見ると、手首にはお店の人に掴まれた跡が残っていた。
赤…というよりは紫に近く、あざみたいになっていて…
あ、ヤバッ…
これ、直人に見つかっちゃダメだ!
どうしてそんな風に思ったのかは分からない。
だけど咄嗟にそう思って、見えないように袖を伸ばした。
怪しげなお店から家までの道のりはそう長くはなかった。
特に会話という会話もなく、気付けばマンションのエントランスに着いていた。
エレベーターの中でもただただ無言…
ぼんやりと前に目を向けると何か違和感を感じた。
でも…何かが分からない……
違和感の正体を探るべくよく目を凝らす。
思ったよりそれは早く発見出来た。
直人の左手の甲にある傷を…
「直人。その手…」
エレベーターを降りて先に廊下を歩く直人を呼び止める。