只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
「あの子に一体…何をしたの?」
声の低さから美桜の怒りが伝わってくる。
もしかすると掴み掛かるんじゃないか…
そんな雰囲気さえも孕んでいた。
その様子を見ている奴等のざわめきも一層増していき…
「それよりも先に聞きたい事があるんだけど…」
そんな中、松田の返しは呑気なものだった。
この空気の読めない発言は相手をキレさせたいからなのか、何なのか。
教室内にピリピリとしたモノが駆け抜ける。
が、その状況はいきなり一変した。
松田が美桜に近付き、何かを囁く。
周りには聞こえないようなかなり小さな声…
それを聞いた途端、美桜は突っ立ったまま固まってしまった。
そこにまた松田が耳許へと話し掛ける。
「これ………な、に……」
苦しそうな掠れた声で、美桜が言葉を絞り出している感じがした。