只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
大切な存在
花音としばらくお喋りをしてから、いつもの十字路で分かれた。
一人帰り道を歩く。
ふと見上げた空は、オレンジと紫の複雑なコントラストをなしている。
パシャッ!
綺麗な空を残して置きたくてスマホのカメラで撮ってみた。
だけど、目に焼き付いている光景と画像では印象が違うように感じてしまった。
「あれ?」
エレベーターから降りて自分の部屋に向かうと、誰かが……部屋の前にいる。
いや、誰かじゃないな…
立っているのは間違いなく直人だ。
「えーっと、直人くん?…家、間違えてますよ?」
「お前…花音と何話してきた訳?」
私が少し茶化すように話しかけても、直人はそれをスルーしていきなり本題をぶっかけてくる。
あー、そうですか。無視ですか!
苦笑いを浮かべつつも、ふぅっと一息つくと私は顔を引き締めた。