只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!



ハァ…



不意に聞こえてきたため息。


なんか、直人によくため息つかれる気がするな…



「言ったよな?もっと周りに気ぃ持たれてる自覚持てって」



額に手を当てて話す声のトーンは余りにも冷静で。


怖くなる。


直人に嫌われてしまうんじゃないかってことがーー



「そんな、自覚なんて…
私にはやっぱり物好きな人がいるんだとしか思えないし。
それに…」


「…それに?」



捲し立てて言ってしまったが、続きを言うのが躊躇われた。


これは単なる自分のワガママで、


とても子供っぽい発言だから…



「美桜?」



中断することを目の前の彼は許してはくれない。


表情はいつもと大差ないのに、目は『早くしろ』と囃し立てているみたいだ。


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