蒼の歩み
「ありがとう、じゃあ。またね」
「おー、また何かあったら誘うぜ」
「……」
またね、って自分から言ったのに。私は中々車から降りなかった。……降りたく、なかった。
「真歩?」
「あのね……、も、も……」
「漏れる?」
「違う、ばか!も、もう少し、一緒に居たいの!」
「……いいぜ。じゃあ、こうしてよっか」
すると彼は、私の右手に己の手を重ねてきた。
「えっ」
突然のことにびっくりした。でも。
「蒼君の手、安心する。凄くドキドキする……」
手から伝わる相手の体温がとても心地好くて。
道の駅で休んだり、アイスを食べたり。一緒に夕日を見てたくさん会話をしたり。今日の出来事が頭に流れてきて。……来年も、この先もずっとこうして彼と過ごしていたい。蒼君の温もりは、私にそんな思いを抱かせた。