蒼の歩み
しかし、そんな私の言葉を彼も簡単には聞き逃してくれなかったようで。



「弄って欲しい(はぁと)って言ったか?」



そんなことは言ってません。



「ありがとな、真歩。んじゃご希望にお応えして、どれか選びな。首輪、鎖、手錠、ヒモ、蝋燭、三角木馬、バイブ付き、真珠付き、あとは……」



「すとっぷ、すとっぷ。どうしてそんな単語がスラスラ出てくるの貴方って人は」



「だって真歩が、弄って欲しいって」



「言ってない! ……ところで、真珠付き、って。何……」



会話の流れからして、真珠付きのネックレスだとかそういう類の話ではないのは明らか。だったら、真珠付きとは何のことやら。



「真珠付きが何かって?」



「う、うん……」



「期待してんの?」



「違うわ!ばか!」



とりあえず、そっち系の単語だということだけはわかった。




「普通の話もネタも遊びも、多少キツい事言っちまってもへこたれずに話に付き合ってくれて有り難ェと思ってる」



「ん?」



「真歩とはテンポもテンションも合うんかねと。これからも俺のこの癖は直せねェが、また遊んでくれ。おめーと話すのは楽しい。いつもありがとな、真歩」



蒼君、どうしたんだろう。蒼君も、お酒の力か何かかな?



「蒼君……。まさか、そんな言葉を貰えるなんて想ってなかった」



嬉しい。嬉しくて震えそうで。あれ、嬉し涙もでてきたかも。



「癖?直さなくていい、これからも素で私と絡んでほしい。楽しいと思ってもらえてて、良かった。人がたくさんいる中から、蒼君に出逢えることが出来てホントに良かった」



私のこと、そういう風に想ってくれていたんだ……。



テンポもテンションも合う、か。



えへ。
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