蒼の歩み
ブログに新着コメントがつきました。



『ん?どうした、真歩』




……今までも、何か書き込んでも誰も何も反応が無かったのに。たまたま見たのか、どうして見たのか。言うまでもなくソレは。私が最近欲して欲して仕方が無かった、彼からの言葉。



でも、伸ばされた救いの手を振り払うかのように、私はコメントを無視した。甘えてばかりでは、ダメだと自分に言い聞かせ。



それに、気持ち悪いだとか何だとか、大げさに書きすぎた部分もあるな。今度、蒼君に謝ろう。変なこと書いてごめんねって。



携帯をゆっくりと閉じて。どうしようかな、今日はもう眠ってしまおうか。何もしたくないや。




ただベッドに倒れていると、鳴り響く着信音。……出る気は無いが、名前だけ確認する。予想通りと言うか何と言うか。



秋塚 蒼真 の文字。



正直、今すぐにでも応答して声だけでも聞きたい。……でも、ダメだ頼ってはいけない。私は今まで彼に甘えすぎていた。ここは、無視を貫き通す。それに……、今の私の状態をどう説明していいかがわからない。



そっとマナーモードにし、再び項垂れる。仕事を退職した開放感やら罪悪感やら色々混じって何だかもうわけがわからない。実質上の、解雇……、クビになったのかな。



仕事はそこだけではないから生活はできるが、主な収入源はあそこからだった。早く次の仕事を探さないと、なんて考えも今は出てこない。



気持ち悪さが胸に渦巻いて。……泣いて発散すれば、スッキリするのかな。



無意識に、携帯を開きブログを弄る。



『ごめん助けて』



……書き込もうとして、消した。無駄に心配かけるだけだ。こんな事はもうやめよう。すぐに携帯を閉じて、また横になった。



明日になれば、このモヤモヤは消え去ってくれるのかな――
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