蒼の歩み
そんな通話をした、数日後。イブは仕事が休みだったから、この日に逢うかと彼からのメール。



わかった!と即効返事を書いて、私は携帯電話を握り締めながら小さくガッツポーズをした。



嬉しくて、嬉しくて。



人生初の、家族以外で過ごすクリスマス。脱ぼっちのイブ。



だが、浮かれてばかりもいられない。私から言い出したわけだし、ある程度何処に行くかとかを考えておかなければ。流石にいつもの喫茶店というのもアレだし……。



と、悩んでいると。友達からメールが届いた。メールの内容は偶然にもクリスマス関連のことで。



23日~25日は特別イルミネーションが綺麗に飾られている場所があるということ。自分は彼氏と行く予定だけれど、真歩は例の彼を誘ってみたらどうだとのこと。



丁度彼をどこに誘おうか考えてたとこなんだ、ありがとう。と伝えると。


頑張れ、って返事がきた。



蒼君にイルミネーションのことを伝えるとOKしてくれた。やった、楽しみだな。



いつも行き先やら何やらを彼に決めさせることが多くソレを申し訳なく思っていたが、今回は私から誘うことができた。場所の提供をしてくれた友人に感謝だ。





――それから私は、何となくアクセサリーショップに寄った。自分の好みの物を探すと同時に、今年のイブは彼と過ごすのだということが頭を過ぎる。……気がつけば、男性物のアクセサリーを探している自分がいた。



クリスマスプレゼント……、渡そうかな。



指輪、リングは彼女でもない私が贈るには重たいだろう……。となると、ペンダントとかブレスレットかな。ブレスレットは前につけてたから、ペンダントがいい、彼の好きな色は確か……。



色々考えて品物を物色していると、店員さんが声をかけてきた。



「何かお探しですか」



私は返事を返す。



「男性に人気のアクセサリーはありませんか?」



彼氏さんにですね?と聞かれ、流れでハイと答えた私だが……。蒼君は、彼氏ではない。



……やっぱり、彼氏でもない男性にプレゼントを贈るというのは可笑しなことなのだろうか。そう思うと急に、自分は今いったい何しているのだろうという考えで頭がいっぱいになった。
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