蒼の歩み
私は、この気持ちをどこかにぶつけたかったのかもしれない。……何を血迷ったのか、私はこの一連の話を秋塚さんに聞いてもらおうと決心した。



嫌なモヤモヤを抱えたまま布団に潜り、朝日はすぐにやって来た。そして、秋塚さんとの約束の時間も。



私は、先に店内で待っていた。……此処で働いていたのは2年程前の話だが、馴染みの店員がいなく、どうやら店長も変わっていたようだ。2年という月日はけっこう大きいようだが、私自身は何も変わっていないなと自嘲気味に笑いながら、秋塚さんのことを待っていた。



席についてから、すぐに。




黒に近い薄茶髪の男性が店内に入ってきて。秋塚さんかな、と思ったら。案の定そうだったようだ。彼は私に近づいてくる。



「待ったか?」



と聞かれたので、いいえ今来たところです、と返事を返した。付き合い始めのカップルみたいだな、と1人おかしくなったので、私は必死に笑いを堪えた。

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