蒼の歩み
カップル、と言えば。別に初デートというわけでもないので、対して服装に気合は入れなかったが。……私の格好、変ではなかっただろうか。友人に会う時、自分では普通の格好をしているつもりなのに相手から「気合入れちゃって」と言われるから、秋塚さんにはどう思われるのだろうかと少しだけ気になった。ただ、私はスカートという服装が好きなだけなのだが……。



対する秋塚さんは、これはまた大人の雰囲気を醸し出した服装だ。若すぎず、落ち着きがあり。秋塚さんのルックスならどんな服装も似合いそうだが、本日の格好はとても様になっていた。



秋塚さんは席につき、コーヒーを頼んだので、私は紅茶を注文した。飲み物が来るまで、いつものメールでのやり取りのような世間話を交わす。



秋塚さんはどうやら昨日、歯医者に行ってきたようだ。親知らずを抜いてきたのだとか。



七瀬さんは親知らずはあるかい、と聞かれたので。私もつい最近生えてきたんですよ、と答える。




……そういえば。




秋塚さんは私のことを。七瀬さんと、名字にさん付けで呼ぶけれど。敬語ではないな。でも、彼の方が年上だろうし。



しかし、改めて彼の容姿をまじまじと見ると、例えば18歳と言われても納得できてしまうような顔立ちをしていて。……いったい、秋塚さんはいくつなのだろう。



そんなことを思っていると、飲み物が運ばれてきた。コーヒーをブラックで口に含む彼の様子を見ると、こんな些細なことで大人だなと感心させられた。



私も紅茶を一口飲んでから、私にとっての本題を切り出すことにした。

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