蒼の歩み
「……友達の、過去の話を聞かせてもらったのです。というか私から、よければ聞きたいって言ったんですけど。でも、自分から聞いといて。上手い言葉がかけられなくて。なんか、ごめん。って言ったら。この話をしたらみんな謝る、って」



「……」



「別にもう吹っ切れてるのに、て。前に進むためには過去を振り返る事も必要だから、構わない、って」




口から言葉が次から次へと出てきて、話し始めたら自分でもびっくりするぐらい止まらなくて。突然こんな話を聞かせて彼は気分を悪くしていないかと様子を伺うと、嫌な顔1つせず私の方を見て私の言葉1つ1つに耳を傾けてくれていたので、私は話を続けることにした。




「……だから、私。話してくれたことが嬉しかった……。嬉しいって表現もおかしいけどそう伝えて、言葉を添えたら。そしてみんな最後は同じことを言う。って返ってきて。月並みなことしか言えなくてごめん、って私がまた謝った。その人がもう吹っ切れたって言ってるのに、私がその話を聞いて勝手に哀しくなって」




「うん……、それで?」



秋塚さんが、優しく相槌を打ってくれる。それだけのことに、妙に安心感を抱いて。



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