蒼の歩み
カーナビだ。実家の車にも、時々乗らせてもらう友人の車にもカーナビがついていなかったので、私にとってはそれはとても珍しい代物だった。
「さ、触っていいですか!」
隣に座る彼に問うと。おかしそうに、どうぞと返ってくる。しまった、突然変に思われたかとも思ったが、私は画面にそっと指を伸ばした。
「……すごい」
周辺の地図がわかりやすく表示され、今まで家族旅行や何やらをしていた時に、紙の地図片手に自分がカーナビ役になっていたのが滑稽だと思わせるほど。
こんなものと自由な時間とお金があれば、1人旅行し放題だなと私は浮かれていた。
そんな感想を、運転中の秋塚さんに向けて話すと。……秋塚さんは、黙っていた。
「……秋塚さん?」
運転に集中しているのかもしれないが、秋塚さんにしては、こう、ボーッとしているのは珍しい。
秋塚さん、ともう一度声をかけてみると。予想外の返答が。
「さ、触っていいですか!」
隣に座る彼に問うと。おかしそうに、どうぞと返ってくる。しまった、突然変に思われたかとも思ったが、私は画面にそっと指を伸ばした。
「……すごい」
周辺の地図がわかりやすく表示され、今まで家族旅行や何やらをしていた時に、紙の地図片手に自分がカーナビ役になっていたのが滑稽だと思わせるほど。
こんなものと自由な時間とお金があれば、1人旅行し放題だなと私は浮かれていた。
そんな感想を、運転中の秋塚さんに向けて話すと。……秋塚さんは、黙っていた。
「……秋塚さん?」
運転に集中しているのかもしれないが、秋塚さんにしては、こう、ボーッとしているのは珍しい。
秋塚さん、ともう一度声をかけてみると。予想外の返答が。