蒼の歩み
「そういえば、……秋塚さんのせいで腰が痛いです」



と自分でもよく意味のわからない言葉を発してみた。……すると。



「腰?俺は知らねェぞ」



と。当たり前の反応だ。



「おめーが腰振りすぎたんだろ。何してたんだか」



これがメールならば最後には『(笑)』の文字がついていそうだ。……秋塚さん何考えてるの、って返しを用意してたのに。



腰振りすぎとか言うから、私が何考えてんだろ。私も同じく『(笑)』をつけた気持ちになってそう返したら。



「ホントだ。真歩、何を想像したんだ?ちょっと詳しく教えてくれよ」




……。




わーっ!? と、声を出したくなった。思わぬカウンターを喰らって、恥ずかしくて。どうしようかと思った。




「べ、別に何も想像してないです!」



とは言ったものの。




「説明になってねーなー?そんなんじゃ俺、納得できねー」



だなんて返ってきて。……秋塚さんって、けっこう意地悪?私は1人、わたわたとしていた。



運転中の彼の様子をチラリと伺うと、まー……。何とでもないと言う様な顔しちゃって。



「納得しなくていいので勘弁して下さい!私、なんか変にドキドキしてます。もしかして、これが恋……?」




「……無視しよう」




「の、脳内に直接送ってみよう。うぃーん」



「バリア」




……とりあえず。話題を脱線させることに成功したので、良しとしよう。

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