蒼の歩み
――というわけで、私達は散歩も兼ねて歩きで近くのパチンコ屋さんへと向かった。



店内は騒音が凄くて、大きな声で話さないと相手との会話が困難で。とりあえず、私は黙って蒼君の後ろをついていった。



「アニメの台がいいか?」



蒼君が振り返り、私にこう聞いてきた。



「うん」



とは、答えたものの。先ほどから蒼君と一緒に練り歩いていて、ある事実に気づいた。……アニメの台、空いてないんだ。そのことに気づいた私は咄嗟に蒼君の袖を掴み



「マリンちゃんやってみたいな!」



と、伝える。その言葉は蒼君に届いたようで、お目当ての台の席に座るよう促してくれた。私が座ると、隣に彼も座った。



お金の入れる場所や、玉を狙う場所を横から教えてくれた。数十分の間に消費される金額の多さに驚きはしたものの、色取り取りの魚や数字がくるくると回る様を見るのは、初めてだからか少し面白かった。……きっと、当たらないとイライラしてくるのだろうけど。

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