蒼の歩み
それでも蒼君は、初心者な私に1番安い台を案内してくれたようだ。出玉の数は少ないけれど、当たる確立は高い台、らしい。



蒼君が選んでくれたおかげもあってか、私の初パチンコは2000円の儲けという結果で終わった。これがビギナーズラックというやつなのだろうか。私が当たっている間、蒼君はずっと横で見守っていた。



換金場所も教えてもらい、無事に玉をお金に変えてきたが




「1人では来るんじゃねぇぞ」




と、言われた。なんで?と聞き返すも答えが無くて。私がまだパチンコ初心者でルール等よくわかっていないから、だろうかと勝手に解釈をしたが……。儲けたお札2枚を手にし嬉しそうにしている私の様子を蒼君は複雑そうに見ていたそうな。



最後に店内を、ぐるりと観て回ることにした。タバコを吸っている人が多く、台も隣接しているので。これはすぐに服にタバコの臭いがついてしまうな、と改めて実感した。



大きな音と、遊戯を楽しんでいる人たちを一瞥していると、叩かれた肩。



「ジュース買ってくる。なに飲む?」



と、耳打ち。……周りの騒音が煩いから仕方ないにしても、急な接近は少し照れ臭かった。



カルピス、と同じように耳打ちで伝えると。ガキだな、と頭を軽くはたかれてしまった。



だって、カルピス美味しいよ。甘くて。

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