蒼の歩み
5
映画の約束を、丁度1週間後に控えた今日。
「真歩、紅茶でよかったか?」
「あ、ありがと。お構いなく」
「オメェ、いつも紅茶飲んでるもんな」
「だって好きなんだもん」
「好きなのは紅茶じゃなくて、甘い紅茶……。だろ?」
「……うん」
差し出された紅茶を一口飲むと、砂糖が多めに入れられていることがわかった。こういうちょっとしたことを覚えてもらっているというのは嬉しいことなのかもしれない。なんだか胸がほんのりと暖かくなるのを感じた。きっと蒼君の淹れてくれた温かい紅茶のおかげかな。
そう。……私は何故か、蒼君の家にお邪魔していた。
事の成り行きはこうだ。喫茶店に行く前にいつものようにメールを入れたら。今日はよければ俺の家に来ないかとの返事が返ってきた。というわけで蒼君のお言葉に甘えて、車で迎えに来て貰い今に至る。ただそれだけのこと。
……でも。
流石に、ここ数週間の流れは。急展開すぎるのではないかと、誘われたからとは言え、1人暮らしの男性の家に突然お邪魔したのもいかがなものかと思いはしたが、時既に遅し。
美味いか?と聞いてくる彼に軽く頷き、余計なことは考えまいと自分に言い聞かせた。
「真歩、紅茶でよかったか?」
「あ、ありがと。お構いなく」
「オメェ、いつも紅茶飲んでるもんな」
「だって好きなんだもん」
「好きなのは紅茶じゃなくて、甘い紅茶……。だろ?」
「……うん」
差し出された紅茶を一口飲むと、砂糖が多めに入れられていることがわかった。こういうちょっとしたことを覚えてもらっているというのは嬉しいことなのかもしれない。なんだか胸がほんのりと暖かくなるのを感じた。きっと蒼君の淹れてくれた温かい紅茶のおかげかな。
そう。……私は何故か、蒼君の家にお邪魔していた。
事の成り行きはこうだ。喫茶店に行く前にいつものようにメールを入れたら。今日はよければ俺の家に来ないかとの返事が返ってきた。というわけで蒼君のお言葉に甘えて、車で迎えに来て貰い今に至る。ただそれだけのこと。
……でも。
流石に、ここ数週間の流れは。急展開すぎるのではないかと、誘われたからとは言え、1人暮らしの男性の家に突然お邪魔したのもいかがなものかと思いはしたが、時既に遅し。
美味いか?と聞いてくる彼に軽く頷き、余計なことは考えまいと自分に言い聞かせた。