蒼の歩み
綺麗な、字。



彼と出会ってから次の日の夜。アドレスの書かれた小さな紙を私は自室で見つめていた。



ローマ字とたった2文字の漢字しか記されていないのに。それだけなのに、字がとても整っていて、不思議と綺麗だと感じさせられた。



ちなみに2文字の漢字というのは、恐らく彼の名字。アドレスの横に『秋塚』と書いてあった。



秋塚さん、っていうんだ。



さて、アドレスを咄嗟に聞いてしまったものの。……なんて、送ろうか。



そもそもどうして私はあの時声をかけ、大胆にも連絡先まで聞いたのか。自分の行動がいまだに理解できずにいる。……が。せっかく教えて頂いたので早いとこ連絡をしようではないか。
< 6 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop