蒼の歩み
私達の関係って、何なのだろう。友人レベルまでには到達してはいるだろうけれど、勿論彼氏彼女の関係では無い。この微妙な異性の間柄で、物を贈るのは重たいのではなかろうか。そう考えていた私は、お金はかかっていないが気持ちの篭めたものを用意してきた。



「これ……」



カバンの中から取り出した、淡いピンク色の封筒。差し出し方がまるで、ラブレター読んで下さい。みたいな状態になってしまった。



そう、手紙を。日頃の感謝の気持ちを込めた手紙を用意してきた。蒼君は、おー、とソレを受け取ってくれた。



「恥ずかしいから、私が帰ってから読んでほしいな」



「やだ」



即答だった。




『恥ずかしい』という単語に反応したのであろう彼は、手紙のシールを剥がしだした。



開けていいか、ではなく。開けるぞ、の声とともに。……蒼君らしいと言えば、蒼君らしい。




「秋塚 蒼真さん 改め蒼君へ。誕生日おめでとう、というわけで……」



「ちょっと待って!せめて黙読して!」



「わーたって、読むから静かにしてろ」



あれ、何で私が注意されてるの?

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