蒼の歩み
数日後、蒼君に逢った。私達の、いつもの喫茶店で。普段通りに彼とのお喋りを楽しむものの、蒼君は私の僅かな異変に気づいた様子。



「真歩、どーかしたか?」



俺と居て楽しくねーのか、と呟く彼に対し、私は慌てて弁解する。



「違うの、えっとね……」



私は、正直に胸の内を話した。この前、たまたま蒼君のことを見かけたということ。そして……。



「女の人と、居たんだね」



女性と居た事が気になってしまったということも。……まずい。私は蒼君とお付き合いさせていただいているわけでもないのに、こんな詮索流石にウザいよね。蒼君に女友達の1人や2人居ても可笑しいことではないのに。でも聞いてしまってからは、もう止まらなかった。



蒼君は、何でもないことのように、答えた。会社の部下の相談に乗っていた、と。



それだけだ、と話す蒼君に、私は何故だか安心した。そっか、そうだったのか……。



蒼君は優しいから、私だけではなく、色んな人の相談事に乗ってあげているのだろうな。そう思うと、モヤモヤは徐々に薄れて行き、自己解決することができた。



「ごめんね、なんか……」



「なーんで謝るんだ。そんなことで謝るんじゃねーよ。次はもう、くだらねェことで謝るなよ」


「は、はーい……」
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