蒼の歩み
――下宿に、着いた。いざ帰ってくると、涙はすっかり引っ込んでいて。携帯電話をベッドの上に放り投げてから、私は着替えた。



……丁度着替え終わった頃、震える知らせ。誰からだろうと、先ほど放り投げたソレを手に取る。



着信でもなく、メールでもなく。確認してみるとそこには、ブログにコメントがつきましたというお知らせ。



嘘、一体誰がと。すぐにURLを押し確認すると。



名前:A。コメント:大丈夫かー。



その一言が、記載されていた。Aは……、秋塚さんの頭文字。



彼のたった一言が、すっかり引っ込んだと思わせていた私の涙腺を刺激させる。どうして、なんで。どうして読んだの、なんでコメントをくれるの。どうして、という思いが頭の中をぐるぐる回って。



私は、コメント返信のボタンを押す。何か言葉を返さなくては、心配をかけさせてしまうだろうか。




カチカチと、ゆっくり指を動かして。



『大丈夫じゃない』



……数秒この画面を見つめて、最後のひらがな4文字を消して送信した。今の私は、この一言を打つだけで精一杯。ごめんね秋塚さん、嘘をつかせてください。



いい、これでいいんだと自分に言い聞かせ。私は再び携帯をベッドの上に置き、自分はそっとソコに腰を下ろした。



帰宅したらすぐに晩御飯をとっているのだが、今はそんな気分ではない。余計に動きたくない、そんな感じ。



――すると、そこに。今度はメールの着信音。



今度は誰だ、お願いだから今の私を放って置いてはくれないか。来週出かける約束をしていた友人だろうか、ごめんね今は明るく話せる状況じゃなくて……。と、心の中で謝罪をしながらも一応携帯を開いてみる。

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