蒼の歩み
そして数日後。今日は友人と遠出する約束をしていた。数日も過ぎると単純な私の気分もすっかり晴れるもので、私は今日と言う日を楽しみにしていた。



頑張って早起きし、身支度も終えた。時計が指す時刻は朝の4時。……蒼君にとっては、もうすぐ寝る時間。



おやすみを言うチャンスかなと思い、私は彼にメールを送った。……本当は電話をかけて直接声が聞きたかったけれど、まだ突然通話をするような仲ではない気がしたから。



案の定、蒼君は。私がこんな時間にメールを送ったものだがら、びっくりした模様。友人と遠出するから早起きをしたということを伝えると。そうか、気をつけてな。と返ってきた。



支度は出来たのか、とか。俺とのやり取りはいいからそっち優先しなだとか。……支度をしたうえでのコレだったし、4時半に友人が車で家の前まで来てくれる予定だったので、まだのんびりしていても大丈夫。



それらをサラリと伝え、送信ボタンを押す。



すると、彼は何を思ったのか。寄越してきたメールを見て、私は思わず一瞬目が点になった。




『そうか、パンツの替えは持ったのか』



……。



何の心配してんの、この人。





『いや、あの、日帰りなので』



という、動揺しまくったメールを私は返す。



『ああ、そうか。車か』



……うん、そうだけど。車=日帰りなのかな、ん?



と、考えているとチャイムの音が室内に響く。気づけば4時半。友人が迎えに来たのだろう。



「おはよう!」



蒼君とのメールを強制終了させ、私は元気良く挨拶をしながら玄関のドアを開けた。久々に会う友人。積もる話もあるし、今日は綺麗な景色をたくさん観て、楽しもうか。



「おはよう。さ、乗って乗って~」



上機嫌な友人の笑顔につられて私も笑いながら、助手席へと乗り込んだ。
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