きづかないで・・・やっぱり、気付いて
依花菜の観察日記
最悪...!最悪っ!最悪だ!
たまたま、教室に忘れ物をした。
部活終わりにそれに気づいて、友達に待ってもらって、取りに行っていただけなのに。
教室から帰る途中。
そこには、あのふたりがいた。
それは、告白の最中という、私にとって最悪の場面で。
去ろうと思ったその時、彼らは口付けた。
確かに、彼には幸せになって欲しかったけど、それは見たくなかったのにっ······!
おもわず、宿題を落としてしまう。
それでも、口付けを続けているふたりに、ものすごく虚しくなって、廊下を駆ける。
途中にいた友達の手をつかみ、走る。
公園までついた時、私の顔はぐちゃぐちゃだった。
友達は、何も聞かずに慰めてくれた。
急に走らされて、怒られても文句は言えないのに。
その優しさが嬉しくて、さらに涙が溢れる。
夕暮れの風は、もう冷たくなってきていた。