ハートロッカー
一葉さん曰く、かなりのイケメンで、相当なまでの大酒飲みだと言う。

その大酒ぶりから、彼はさまざまな伝説を作っているそうだ。

俺と同じレコード収集が趣味だと言うが、あいにく俺は彼に会ったこともなければ顔も見たことがない。

「でも俺はミュージシャンになるって言う夢があるので」

笑いながら言った俺に、
「ああ、そうだったわね」

一葉さんは返した。

「お待たせー」

九重さんがレコード片手に戻ってきた。

「おっ、待ってました!」

俺が九重さんからレコードを受け取ったのと同時に、チリリンと店内に鈴の音が響いた。

お客さんがきたようだ。

視線を向けると、
「…あ」

開いた口がふざがらないとは、まさにこう言うことだと思う。

と言うか…えっ、どう言うこと?
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