ハートロッカー
三春さんは俺から目をそらすように、うつむいた。

「――思う」

「えっ?」

「――あなたなら、あたし以外にもいると思う」

そう言った三春さんに、俺は両肩を押さえていた手を離した。

「あたしの方が年上で、複雑で…あたしにばっかり構っていたら、他の女の子が逃げるわよ?」

悲しそうに呟いた三春さんに、
「他の女の子なんか、いらないです。

と言うよりも、俺には三春さんが必要なんです」

俺は返した。

「何にも知らない甘ったれが、一体何を言ってるのよ…」

三春さんは毒づくように返した。
< 108 / 153 >

この作品をシェア

pagetop