ハートロッカー
先ほど信号のところで会ったクールな美人だった。

編み込みの黒髪に、よく整った顔立ち――間違いない、彼女だ。

と言うか、彼女もここの常連だったの?

口を開けて驚いている俺に、
「おう、三春お帰り」

九重さんが彼女に声をかけた。

えっ?

九重さん、今“ミハル”って…。

彼女――三春さんは九重さんと一葉さんを一瞥した後、スタスタと奥の方へと向かった。

「…知り合い、ですか?」

奥の方を指差して聞いた俺に、
「妹なの」

一葉さんが答えた。

「い、妹!?」

俺は九重さんと一葉さんの顔を見比べた。

「末の妹。

私たち、3人兄妹なの。

太くんの2個上の大学1年生…って言っても、あの子はまだ18歳だけどね。

誕生日が3月だから」

一葉さんがつけくわえるように説明してくれた。
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