ハートロッカー
「三春さん、考えてください。

1週間後、聞きにきます」

俺は言った。

「どうしてあなたは、いつも自分勝手なの?

あたしの考えや思っていることを聞こうって思わないの?

理解者になりたいとか言ってたくせに。

結局は、自分の勝手で話を進めているだけじゃないの」

三春さんの言う通りだと思った。

だけど、
「俺の勝手で話を進めなきゃ、三春さんは近づいてこないでしょ?

俺のことを知りたいって、そう思っているんでしょ?」

当てられたのか、三春さんから帰ってくる言葉がなかった。

俺は三春さんを一瞥すると、『アウト・ブルース』のドアを開いた。

鈴の音を背中で聞いた。
< 113 / 153 >

この作品をシェア

pagetop