ハートロッカー
七緒と部活がない日が重なるのは久しぶりである。

そのうえ今日は金曜日だから2人で叱られた憂さ晴らしにカラオケかゲーセンにでも行きたいところだけど、あいにく今日は2人そろって用事が重なっている。

これも久しぶりの話だな。

七緒と校門の前で別れると、俺は『アウト・ブルース』へ足を向かわせた。

「寒いな…」

呟いた後、カバンから黒いマフラーを取り出した。

それを見て、ふと思い出したのは…やっぱり、三春さんだった。

2人で映画デートをした時、俺と服の色がかぶってたこと。

お互い黒で統一したことに驚いた反面、結構嬉しかったんだっけか。

つい最近あった出来事のはずなのに、それが遠い昔のように感じるのは、俺の気のせいだろうか?
< 120 / 153 >

この作品をシェア

pagetop