ハートロッカー
上野さんが安部さんの腕をつついた。

それに対し、安部さんはためらった表情を見せる。

だけど誰も口を開こうとしない様子に安部さんは息を吐くと、口を開いた。

「――実は…三春が行方不明になったんだ」

「えっ…?」

三春さんが、行方不明…?

「一体、どう言うことなんですか?

三春さんが行方不明になったって…」

「そのまんまの意味だよ。

ケータイもつながらねーし、こんな時間になっても帰ってこねーし…」

安部さんがブツブツと毒づくように呟いた。

スマートフォンで時間の確認をすると、6時を過ぎたところだった。

「ケータイがつながらないのは…もしかしたら、電波が届かないところにいるかも知れないですし、電池も切れているって言う可能性だってありますし…。

もしかした友達に誘われて、どこかでみちくさでも…」

「そうだったら、俺たちもここへはこねーよ」
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