ハートロッカー
お母さんの遺影の後ろに手を伸ばすと、それを取り出した。

九重兄さん、一葉姉さん…と、
「あった」

あたしの名前が書かれた通帳を手に持つと、残りをまた遺影の後ろに戻した。

それをズボンのポケットの中に入れると、電気を消して、お父さんの部屋を後にした。

自分の部屋に戻ると、ポケットに入れていた通帳を出して、確認をした。

「えーっと…20万か」

この大金をすぐに使わなくてよかったと思った。

出演料、正確には『高校生映画祭』で大賞を受賞した時にみんなで山分けしたお金だ。

20万なんて言う大金をもらわれても困ると思ったけど…でも結果的にはこうして役に立ったからいいだろう。
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