ハートロッカー
「はい、すんません…」

安部は呟くように謝った。

「じゃあ、あたしもう帰るから」

「気をつけろよ」

安部に背中を向けると、家に向かって歩いた。

あたしと交わす会話がこれが最後だと、安倍は思っているのだろうか?

…思ってる訳ないよね。

家出するって言った訳じゃないし、気づいてもいなかった。

あたしはホッと胸をなで下ろした。

同時に、悲しくなった。

もしかしたら、心配されていないのかも知れないな。

それはそれで楽かも知れないけど。
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