ハートロッカー
「またきてねー」

もう2度とこねーよ。

千波の声に心の中で毒づくと、喫茶店を後にした。

腕時計に視線を向けると、6時を過ぎていた。

千波の店に入らなかったら、ご飯を食べることくらいできたのに…。

自分の運の悪さを泣きたくなった。

だけど、今は泣いている場合ではない。

空の方に視線を向けると、雲でいっぱいだった。

今は今夜泊まるところを探すのが先だ。

雨でも降られたら大変だ。

うんと、首を縦に振ってうなずくと探すために歩いた。
< 144 / 153 >

この作品をシェア

pagetop