ハートロッカー
…案外、見つからないものである。

「寒い…」

コートの襟を立てて見るものの、これで寒さが和らぐ訳ではない。

あちこち歩き回ったせいで、脚も疲れてきた。

こんな寒い中で野宿をしたら、凍死をしてしまう。

「もう疲れた…」

吐いた息は、真っ白だった。

同時に、チラリチラリとあたしの視界に入ってきた。

…えっ?

空に視線を向けると、雪だった。

「雨じゃなくて、雪かよ…」

毒づくように呟いた。

雨でも雪でも、結果的にどちらもめんどくさいことには変わりはない。
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