ハートロッカー
180以上あるであろう彼の身長に、150のあたしが見下ろされるのは仕方がない。

「好きだからです」

大政が言った。

「三春さんが好きだから、三春さんを探して、三春さんを見つけたんです」

言うと思った。

この男だから、そんなことを言うと思った。

「あたしは、戻らない」

「俺も一緒にいます。

三春さんが望むなら、この街で一緒に暮らしたって構いません」

少しは黙ろうと思わないのかな?

ああ言えばこう言って、こう言えばああ言って…大政があたしを求めているのが、嫌でも思い知らされる。
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