ハートロッカー
これ以上おかしなやりとりをしても、お互いのためにならないな。

「実はさ…行きつけのレコード店の末娘に一目ぼれしたんだ」

「………はっ?」

七緒が聞き返した。

針井ちゃんは意味がわからないと言うように首を傾げている。

「だから、一目ぼれ。

三春さんって言うんだけど、彼女に一目ぼれしたんだ」

そう説明した俺に、
「お前…いつだったか忘れたけど、峰不二子みたいな女がいいとかって言ってなかったか?」

七緒が不思議そうに言った。

峰不二子みたいな女がいい――確かに、そんなことを言ったような気がする。

だけど、
「昔は昔、今は今です」

うん、我ながら名言だ。
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