ハートロッカー
「まあ、今井の言うことは気にするな」

武瑠が言った。

「一匹狼の三春さんを口説き落とすには、九重さんに協力してもらうしか他がないかもな」

武瑠はうんうんと首を縦に振ってうなずいた。

「今日もレコード店に寄ってくんだろ?」

「三春さんに会えるかどうかはわからないけどね」

武瑠の質問に、俺は笑いながら言った。


「じゃあ、またなー」

部活も終わり、校門の前で武瑠と今井の2人と別れると、俺は『ニコニコ横町』に足を向かわせた。

『アウト・ブルース』のモダンなドアを開けて顔を出すと、
「すみません、今日はもう閉店なんで…」

鈴の音と同時に、アルトの声が聞こえた。

「あっ…」

声の主を見て、思わず声をあげた。

三春さんだった。
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