ハートロッカー
「三春さんは、行かなかったんですか?」

俺が聞くと、
「…どうして、あたしの名前を知ってるの?

昨日会ったけど、あたし教えた覚えなんかないわよ?」

三春さんは驚いたように尋ねた。

すぐに思い出したと言うような顔をすると、
「九重兄さんが教えたのね」

呟くように、俺に言った。

「…すみません」

何だか申し訳ない気がして、俺は呟くように謝った。

「九重兄さんのおしゃべり…」

三春さんは毒づくように呟いた後、やれやれと言うように息を吐いた。
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