ハートロッカー
それにしても、“九重兄さん”って…兄弟姉妹と言うものは、みんなこんな感じなのだろうか?

俺は1人っ子だからよくわからないが、三春さんが呼ぶ“九重兄さん”と言うのは何だか他人な感じがして仕方がない。

そんなことを思った俺に、
「何か用事があるんでしょ?」

三春さんが言った。

「えーっと…」

話しかけられて、戸惑った。

「もうそろそろ閉店準備をしたいから早く帰って欲しいんだけど」

イラついたような三春さんの口調に、
「いや、あの…好きです!」

何かを言おうと思って出てきた言葉に、俺は耳を疑った。

「はあっ?」

三春さんは何を言っているんだと言うような顔をした。
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