ハートロッカー
その話が切り出されると、俺はカップをテーブルに置いた。

「…三春さん、怒ってましたよね?」

確認のために聞いた俺に、
「我が家がピリピリしてたよ」

九重さんが言った。

予想通りだったとは言え、言葉が返せない。

はあ…。

次に彼の口から出てくると思う言葉に、憂うつになる。

「三春のことが好きなんだな?」

「…一目ぼれです」

まるで刑事から取調を受けているみたいだ。

玲奈さんと笙さんも、俺たちの間に流れるただならぬ雰囲気に距離を置いているのがわかった。

九重さんは何かを考えている。
< 40 / 153 >

この作品をシェア

pagetop