ハートロッカー
「――いや…んー、いや待て…」

ブツブツと何かを呟きながら考え事をしている九重さんに、俺はどうすればいいのかわからなかった。

不安になっている俺に、
「君、九重くんに何をしたんですか?」

笙さんが呟くような小さな声で聞いてきた。

もうバレているようなものだから隠す必要なんてないな、これは。

そう思った俺は、
「その…九重さんの2番目の妹の、三春さんに好きだと言ってしまいまして…」

呟くような声で笙さんに自供した。

笙さんはやれやれと言うような顔をして、指で眼鏡をずりあげると、
「そりゃ、九重くんも悩みたくなるだろうに…」

呆れたと言うように呟いた。
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