ハートロッカー
九重さんはまだブツブツと呟きながら考え事をしている。

俺、一体どうなっちゃうんだろう?

「九重くんに謝るしかもう手はないんじゃない?」

玲奈さんがカウンターから身を乗り出すと、俺にささやくように言った。

「姉さん、ムチャクチャですよ。

九重くんに謝るよりも、三春ちゃんに謝った方がいいと思う」

笙さんはたしなめるように玲奈さんに言った。

「あの三春ちゃんに謝罪が通用すると思う?」

にらむように聞き返した玲奈さんに、笙さんは何も言えないと言うように口を閉じた。

“あの三春ちゃん”って、どう言う意味なんだ?

何か妙に引っかかる言い方だなあ…。
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