ハートロッカー
左耳だった。

大政の10数年後が安部になるのかしら?

そんなことを思った自分に、
「バカバカしい」

呆れて呟いた。

似てるだけでそうなる訳ないじゃなんか。

「何だ、三春。

何がバカバカしいって?」

あたしの呟きが聞こえたとのか、安部があたしに向かって言った。

「あんたに向かって言った訳ないじゃないの」

あたしは呆れたと言うように安部に返すと、にらみつけた。

「すみません…」

安部は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で謝った。
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