ハートロッカー
バカなものである。

謝るくらいなら言わなければいいのに。

あたしは彼らに背中を見せると、階段をのぼって2階へ向かった。

「あっ、三春」

九重兄さんが思い出したと言うように、あたしの後を追ってきた。

「何?」

九重兄さんに視線を向けると、あたしは聞いた。

「あんまり、太くんを怖がらせるなよ?」

「彼にそんな様子なんかなかったわよ?」

心配そうに言った九重兄さんに、あたしは言い返した。

「でも、あんまり怖がらせるなよ。

太くん、三春のことが好きなんだから」
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