ハートロッカー
「外見はいい子かも知れないけど、中身はどうかわからないじゃない。

外見だけで何でも決めつけるのはよくないと思うわよ」

マンガを読みながらあたしは答えた。

「外見だけで、ねえ」

安部はコーヒーを口に含んだ。

「まだ自分の家族に遠慮してる部分があるのか?」

あたしはマンガから安部に視線を向けた。

「…そんな訳ないじゃない。

お父さんにも、亡くなったお母さんにも、九重兄さんにも、一葉姉さんにも感謝してる。

遠慮してる訳ないでしょ?」
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