ハートロッカー

安部はコクンと首を振ってうなずいた後、
「そうだったな…。

言い過ぎた」

呟くように言って、コーヒーを口に含んだ。


その日の夜。

お風呂からあがり、自分の部屋へ帰ろうとしたあたしに、
「三春」

九重兄さんが呼び止めた。

「悪いんだけどさ、明日太くんと一緒に店番やってくれないか？

俺と一葉、明日友達の結婚式に行く用事があってさ」

「はっ？」

あたしは聞き返した。

「頼む、こづかい程度に金は出すから」

九重兄さんはお願いと言うように両手をあわせている。