ハートロッカー
「出かけてる」

あたしはマンガに視線を向けたまま、彼の質問に答えた。

「三春さん1人ですか?」

大政があたしの前にきたのがわかった。

「2人共出かけてる」

「そうですか」

大政はあたしの前を去った。

店内をウロウロし始めたのかも知れない。

「あれ?」

大政が何かに気づいた。

「今日は編み込みなんですね」

そう言った大政にあたしはマンガから顔をあげた。

髪型のことを指差しているんだと気づいたのは、すぐだった。
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