ハートロッカー
「お断りします」

あたしは視界から大政を外すと言った。

「俺、もっと三春さんのこと知りたいんです。

今日なんて…」

大政が何故かそこで話を終わらせた。

不審に思って大政に視線を向けると、彼は言い過ぎたと言うように手で口を押さえていた。

「…まさかとは思うけど、あたしと2人で店番するよう仕組んだのってあなただったの?」

「いや、違います。

今日、九重さんと一葉さんが出かけることは昨日知りましたし…」

慌てたように首を横に振って話を続けようとする大政だけど、動揺が見えている。

「もうバレているんだし、無理して隠す必要なんてないと思うわ」

そう言ったあたしに、
「…はい、仕組みました」

大政は降参したと言うように言った。
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