ハートロッカー
大政はマンガの表紙を見ると、
「ああ、これ友達が持ってるんですよね。

三春さんも読んでるんですね」
と、呟くように言った。

「途中までだから返してくれない?

今、いいところなんだけど」

返すように手を差し出したあたしに、
「俺の質問に3つ答えると言うなら返してもいいですよ」
と、大政が言った。

「はっ?」

何それ、意味がわかんないんだけど。

「本当は3つじゃなくて、5か10くらい答えて欲しいんですけどね。

でも俺も我慢しますよ」

大政はクイッと口角をあげて微笑むと、
「肉食のように見えるかも知れないですけど、実は違うんですよね」
と、訳がわからないことを言った。

「こう見えても俺、紳士なんですよ」
< 72 / 153 >

この作品をシェア

pagetop