ハートロッカー
仕方ない。

「行こうか」

あたしは言った。

彼らの横を通り過ぎるように歩き出したあたしに、
「えっ…あっ、三春さん」

大政が後を追ってきた。

「若いな」

「うん、若い若い」

あたしたちの後ろで上野と安部がそんなことを言っていた。


冷たい空気に、もう冬になったんだと言うことを知った。

「三春さーん、待ってくださいよー!」

大政がやっとあたしに追いついた。

「どうせだったら一緒に行きましょうよ。

せっかく2人一緒にいるんですし」

息を切らしながら言っている大政を見あげながら、あたしは他人事のように思っていた。
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