ハートロッカー
「小暮さんって、何か他人みたいな感じがしてヤです」

大政がそう返したので、
「他人でしょ。

他人は名字で呼ぶものでしょ」

あたしは言い返すと、先を歩いた。

「あっ、三春さん!」

大政が後を追ってきた。

犬じゃあるまいし…。


映画館についても、あたしは大政に声をかけなかった。

「結構いい席ですよね」

大政があたしに話しかけてきた。

「そう」

あたしは一言返すと、先ほど売店で買ってきたパンフレットに目を通した。
< 84 / 153 >

この作品をシェア

pagetop