ハートロッカー

*DERRINGER*

部活が休みのその日、俺は喫茶店『柚葉』にある人物を呼び出した。

「まっさか、俺が呼び出されるとは思っても見なかったな」

その人は、すでにカウンター席に座っていた俺の隣に腰を下ろした。

「三春のことについて聞くとしたら、フツーは九重を呼び出すんじゃないか?

ああ、玲奈さん、俺はコーヒーね。

ブラックで」

俺はミルクティーに口をつけると、
「九重さんじゃ、はぐらかされるのがオチだと思ったんですよ。

実際、上手に丸めこまれましたし」

その人――安部さんに言った。

安部さんは玲奈さんからブラックコーヒーのカップを受け取ると、
「まあ、それが関の山だろうな」

一言そう返して、カップに口をつけた。
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